2009年8月2日日曜日

ひとつのハードル越え

Hamjambo?

 日本はもう一学期が終わって夏休みなんですよね。こちらは一年で一番涼しい季節がやってきました。朝夕はちょっと肌寒く感じます。でも日本ならそんなに寒いとは思わないでしょうが、体の体感温度がタンザニア仕様になっているのかもしれません。

 先週は同期隊員が活動している職業訓練校で「ライフスキル」の授業をさせてもらいました。実は今まで「ライフスキル」の授業に関しては特に、タンザニア人の先生たちに全面的に前に出てもらって自分は裏方に回っていました。ところが、同期隊員の学校でエイズや薬物についてのアンケート調査をさせてもらったことをきっかけに、「たまには違う人の授業を見て勉強したいし、先生によっても視点や教え方が異なるから授業をしてみて」みたいなことを言われ、授業をやることになりました。これははっきり言ってかなり自分としても緊張し、ハードルが高いものでした。理由のひとつはもちろん言葉の問題。もうひとつは、日本でも性教育やエイズ教育の授業を一人でやったことはなかったからです。それに、生徒の疑問もたくさんあって、質問も出ることが予想されるし、本当に不安でした。でも先生方も「言葉がわからない時は助けるから。」と言ってくれ、当日に至ったというわけです。
 
 ここの学校、これまで訪れたどの学校よりも設備がよく、プロジェクターとコンピューター、パワーポイントも使えたのも大変助けになりました。この学校のライフスキル担当の先生も自分でパワーポイントを作ってよく授業をされているようでした。

 (生徒は自動車整備コースと秘書コースから。生徒も大勢なのでマイクも用意してもらいました。)

 1時間程度ということでしたが、お願いされた内容が多岐にわたっていたので「あまり深くは入れないからあとで補足してくださいね」とあらかじめお願いし、20枚程度のスライドで「性とセクシュアリティ」「性感染症」「HIV・AIDS」「HIV・AIDSとともに生きる人」ということで話をしました。
 授業はスライドの助けもあり、なんとか私が言いたいことは理解してもらえたように感じます。色々と感じるところがありましたが、生徒が積極的に授業に参加してくれたことと先生方も協力的で助かりました。途中でちょっとだけロールプレイを入れたのですが、積極的に挙手して前でやってくれる生徒もいました。ちなみに、最初は私と同期隊員で見本を見せ、それとまあ同じようなことをしてもらいました。内容はといういと。。。

女子生徒「あなたのことが好きだけど。私まだ気持ちの準備ができてないの。」
男子生徒「大丈夫だよ。ぼくは君のことを待っているよ。」
、、、てな会話です。

             (積極的に男女1名ずつの生徒が前に出てきてくれました。)

 ここの含まれるメッセージは「勇気を出してNoと言いましょう」「信頼し合っているなら待ちましょう」ということなんですが、「ぼくは君のことを待つよ。」っていいましょうね!と投げかけた時の男子生徒の全体の反応がなんとなく微妙でしたねぇ。実際は待たずにすぐ別の人のところへ行ってしまうような気もしないでもありません。
 
 あと、調査した時もそうですが、よくわかっている生徒とそうでない生徒の差が大きいことがよくわかりました。「AIDSウィルス」はどこにいますか?と質問したら「人間の皮膚」と答えた生徒がいてびっくりしました。他の生徒もちょっとびっくりしていましたが。生徒の質問に対してよく理解している別の生徒が答えてくれる場面もありました。

 それから性感染症の予防について、よくあるABC(A=Abstain(待つ)、B=Be faithful(誠実であれ))の話をし、C(Condomを使いましょう)のことはそう深く入らずに済ますつもりでしたが、実物のコンドームをちょっと見せたら「使いか方を説明してくれないと予防できません」的な発言でコンドームの説明会がはじまりはじまり。。。これもよく知っている生徒が前に出て説明を始めました。そして先生方も「女性用コンドームもあるのよ~」と実物を持ってきてくださいました。
 
これまで自分が一緒に活動してきた団体は主にカトリック系だったので、青少年にたいして予防に「コンドームを使いましょう」という選択肢は入れていないので、使い方の話になることはまずありません。これもまあ議論の分かれるところです。さらに、タンザニアではコンドームにエイズウィルスがいるというようなデマが流れたことがあったり、コンドーム会社の商業主義のわなにかかっているという風に言う人たちもいます。一緒に活動しているカトリック系の人たちの意図や目指すところをきいて納得するし、同意もできるのですが、一方で全く教えないというのも非現実的だし限界があるような気もしています。

 今回の授業を通して、今後、自分としてどんな立場をとっていくのかについても色々考える機会になったと思います。最後に先生と、お互いが授業で使ったスライドの交換をしました。お互い学びあうということができ、とてもよい経験になりました。

 それにしても、それにしても。もしかしたらこれが最初で最後の一人でやるライフスキルの授業かもしれません。

Tutaonana
 

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