帰国前の土日もあと数えるほどになりました。じっとしているのがもったいなくて、結局今週の週末もちょこちょこと出かけたりして忙しく過ごすことになりました。土曜日は買い物の後に同期隊員の家を訪問し、地元でサッカーの試合を観戦。日曜日の今日は以前に訪問すると約束していたグループのところに行ってきました。
今日訪れたグループは”Shirikisho key stone”というグループで主に地域で植林をしています。グループと言っても、見た感じ、軍を退職したおじいさんがほぼ一人でやっているようです。私の好きな本で『木を植える人』という話がありますが、これは一人で見返りやお金などとは関係なく荒地に木を植える続ける男のお話で、それを思い出させるような方でした。
(森の前で。向かって左が「木を植える人」。真ん中が私で右隣はこの地域で青少年のための活動をしている友達。二人とも地域のために働くことに熱心で優秀な人たちです。)
テメケの小学校はどこも木が植えてあったりして日差しの強いタンザニアにあって涼しげで緑豊かな学校の環境を作り出しています。また、よく通る広場にも木が植えてあって人々が木陰で休むことの出来る空間を作り出しています。なんとこういった場所のいくつかはこのおじいさんがなさったお仕事の結果でした。
今日は、荒地で土壌浸食の激しかった土地に植林をし、今は森となっている場所を見学してきました。こちらの木は育つのがとても早いものもあるようで、10年ぐらいで大きな立派な木に成長するようです。元々は政府の住宅が70ほど建っていたのですが、建物が壊れ、土壌の侵食が激しく荒地となったその場所に木を植える仕事をそのおじいさんがすることになったそうです。今では大きな木がたくさんあってまさに森となっていました。ただ残念なことには、住民が捨てるごみがひどくなっていて、住宅の脇は木が枯れかけていました。
(壊れた住宅。こんな壊れた家が70棟もあったそうですが、今ではほとんどその面影はなく、森に生まれ変わっています。)
(森の一番端。住宅地との境目には住民の捨てるゴミが溢れていました。残念)
事務所への帰り道も「これも私が植えた木だ。」という言葉を何度も聞きながら歩きました。木の種類などもわからないけど尋ねたりしておしゃべりしながら民家の間を歩きました。途中で「たくさん種類がある中でどうしてこの木を選んだのですか?」と私が尋ねると、「これはいい木陰ができるんだ。」という答えが返ってきました。この人らしい答えのように感じました。
このおじいさんは昔軍隊に所属していて、ウガンダと戦争した時にも参戦していたそうです。その後、軍を退職し、木や自然のことが好きだったこともあったのかダルエスサラーム大学でその分野の勉強をしたそうです。今でも自分のお金を使って植林を続けていらっしゃることも多いようですが、今まで数々の場所の植林をされてきたということです。
彼の業績がすばらしいということで、一度副首相が彼のオフィスを訪ねたこともあったそうです。その時に副首相から「何が必要ですか?必要なものを言ってください。」という申し出があったにもかかわらず、このおじいさんは本当に必要な道具をちょっとだけお願いしただけでほとんど何も欲しいと言わなかったそうです。せっかくの機会に彼のお願いがあまりにも慎ましかったので、周りの人がそれを聞いて笑っていたということでした。
(この場所も10年ぐらい前までは何もない荒地だったということです。)
タンザニアに来て、こういった自然環境問題に取り組んでいる人に出会ったことがほとんど無かったので今日の訪問はとても新鮮でした。この方がいなかったらあそこの木もここの森もなかったのかと思うと、本当に貴重なお仕事をされている人だなと思いました。まだタンザニアではこういった自然環境保護に関心のある人が少ないようにも思います。タンザニアは益々経済的にも発展していくでしょうが、ゴミ問題や自然環境破壊などの問題にも取り組んでいかないと将来大変なことになるのではと心配でもあります。
Tutaonana
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