夫婦喧嘩、親子喧嘩はどこの国でもあるようで、なんだか大家さん一家はただ今大変なことになっています。奥さんとお姑さんが激しく言い合っています。前に住んでいた家のお隣さんの喧嘩も半端なく激しかったですけど、ここもかぁって思います。タンザニア人は普段は穏やかなのに、喧嘩になると少々激しいかもしれないと思いました。
さて、今日は結構頑張って学校2校に行きました。朝一番に肢体不自由の子どもたちが学ぶ全寮制の学校へ行ってきました。先週、この学校にダルエスサラームに住む邦人の方からの依頼で、ハーモニカとカスタネットを寄付したところです。寄付したのはいいけど、きちんと教えることが出来る人がいないので青少年活動の隊員としては何もしないというわけにはいきません。音楽の専門家でもないので一人自宅でハーモニカの練習をしつつ、手探りでぼちぼち始めるしかありません。これは正直言って冷や汗ものです。
2校目はいつも行っている小学校。ここで外部から講師を招いて週に2日、「ライフスキル学習」を行っています。日本語で説明するならば、性教育、HIV・AIDS教育、薬物乱用防止教育、などを含む「生き方教育」です。私は講師の人のアシスタントを申し出て、教室でちょっとしたお手伝いをしつつ授業の見学をさせてもらいました。
今日は導入の授業で、キーワードは「結婚まで待つ」「誠実であれ」「若者」の三つで、キーワードに沿って授業は進みます。先週は小学校4年生、今回は5年生が対象ですが年齢もまちまちで10歳ぐらいから16歳の子もいました。
先生:「結婚まで待つって何を待つの~??怖がらないで発言してね!」
たくさんの生徒が手を挙げて、指名して欲しくて椅子からお尻が浮き上がっています。
生徒:「結婚するのを待つ!」
生徒の答えはちょっとズレてます。どこの国でもよくあることと思いつつ、頑張って最初に発言した生徒は立派だと思いました。すかさず先生のフォローです。
先生:「結婚は法律で何歳になったらできるの?」
生徒たち「18歳!!」
さてその次。。。
生徒2:「バンギ(麻薬の一種でたばこの用なもの)を吸うこと!」
先生:「なるほど。他の人怖がらないで発言してね。何があるの?」
生徒3:「どろぼう。」
先生:「なるほど。でもほら、結婚までに何を待つの?」
生徒4:「マペンジ(愛)をすること!(つまりセックスをすること)」
ここで、生徒はみんな恥ずかしそうに笑います。すると先生が「笑わないで。笑うことではないでしょ。」と一言。頑張って発言した生徒にみんなで拍手を送ります。(タンザニアの学校にはこの拍手の仕方もいろんなヴァージョンがあって面白いです。日本のかしわでみたいです。)
先生は続けてセックスすることでHIV・AIDSに感染する可能性、女の子の妊娠の可能性があることなどを生徒から引き出します。女の子が妊娠すると勉強が続けられなくなること、物やお金を渡してセックスを強要する大人がいることなどを説明しました。
最近の日本の小学校でどの程度の性教育が行われているのか正直あまり知らないのですが、タンザニアの小学生は結構みんなはっきり言うし、色々なことを知っているようでした。いろいろな情報も溢れているようですし、部族によっては伝統的にある年齢になると結婚の準備のための教育をする人たちも居るようです。思春期になって現れる体の変化についてもよく勉強していると感じました。
スワヒリ語が少し分かるようになってきたこと、行動範囲も少し広がったことで自分のところにも前より情報が入ってきます。これまで小学校の先生が生徒を妊娠させたという話、中学校の生徒で子どもがいながら学校に通っているとか、小学生同士の交際で女の子が妊娠した話などを聞きました。
それとともに、HIV陽性者にも何人か会う機会がありました。発病していない人はいたって元気に見えますが、やはりもちろん亡くなる方もいらっしゃいます。病院にはHIV/AIDS患者専門の棟があると聞きました。
以前、HIV陽性であるために学校に行くのを一度あきらめていた女の子の話を書きました。おととい、一緒にその家を訪問した人からその女の子が亡くなったという知らせを受けました。直接の原因はよくわかりませんでしたが、学校へ行くことを認められ、本やノートの準備をしていたそうです。とても残念な知らせでした。
この国ではHIV/AIDSの問題とも絡んで、性教育は恥ずかしいから避けたいというようなことを言っていられない差し迫った状況なのだということを感じました。
Tutaonana